一人残された視聴覚室。
廊下から聞こえる奈菜の足音は徐々に小さくなっていく。
つい数秒前まで一緒にいたのに
何故だろう?
やり切れない思いが僕を襲う。
これからまた、僕たちは触れられない場所まで戻っていく。
この瞬間が
ただ……
堪らなく寂しい。
奈菜と会えない時間が続くより
側にいるのに話も出来ない、
触れることもできない
そんな時よりも辛い。
この部屋を先に出て行った奈菜もまた、僕と同じ気持ちを抱いているのだろうか?
奈菜?
何で奈菜は僕の……
僕は奈菜の足音が聞こえなくなった事を確認すると、
まだ奈菜の残り香が消えないこの部屋に、冷えきって並んでいる二つの空き缶を机の上にワザと残して、この部屋を後にした。



