僕の愛した生徒



僕は部活を終えて職員室で仕事をしていると、ポケットの中の携帯が震えた。


奈菜からのメールだ。


僕は奈菜にメールを返信して、視聴覚室の鍵をとり、そこへ向かう途中にコーヒーとミルクティーを買って、足早に歩いた。


そこへ続く階段を登って曲がると
前を歩いている奈菜を見つけた。


僕は駆け足で奈菜を追い越し、視聴覚室の鍵を開けて廊下で待っていると、奈菜も小走りでやって来て、

奈菜をその部屋へ先に通すと僕も入り、後ろ手に鍵を掛けた。



僕は奈菜を後ろから抱きしめる。


「先生?」


振り向こうとする奈菜の耳元で


「二人の時は名前で呼べよ」


と僕は声をひそめて言う。


「秀、いきなりどうしたの?」

「朝からずっと奈菜とこうしたかった」


抱きしめる腕に力を込めて、奈菜の首筋にキスをする。


「昨日も、一昨日もずっと一緒にいたのに?」

「それは違うな。昨日も、一昨日もずっと一緒にいたから」


僕がそう言うと、奈菜は何も言わず、ただ、僕の腕の中にいた。


それからしばらくして、僕は奈菜に回していた腕を解き、奈菜を振り向かせて、少し温くなったミルクティーを“はい”と差し出した。

奈菜はそれを“ありがとう”と受け取り、近くの席に座って、プルトップを開けると、それに口をつけ、幸せそうに微笑んだ。


そして、僕たちは隣合わせに座り
指を絡ませながら手を繋ぎ、他愛のない話を続けた。