僕の愛した生徒



僕は奈菜がソフトクリームを食べ終えたことを確認して


「奈菜、そろそろ行こうか?」


と立ち上がり、奈菜の前に手を差し出した。


「秀?」


僕の手を不思議そうに見て
僕を見上げる奈菜にもう一度言う。


「行こう」


奈菜は頷いて、恐る恐る僕の手に
自分の手を添えてゆっくりと立ち上がった。

僕はその手を握り、
それに赤面して俯いた奈菜。

僕はそんな奈菜の手を引いて歩く。


奈菜は僕より半歩後ろをついて歩き

「ねぇ、秀?
手なんて繋いでも大丈夫なの?」

と話かけた。


「奈菜はイヤ?」

「イヤじゃない。
寧ろ嬉しいけど……
でも、」

「じゃあ、問題ないな」


僕は奈菜の言葉を最後まで聞かず答えた。



始めは手を繋ぐことに少し抵抗があるような奈菜だったが、次第に慣れていったのか、

今じゃあ、僕が奈菜に手を引かれていた。


奈菜は“次はあっち”と空いている手で指を差しながら、はしゃいで僕の手を引く。



小動物との触れ合いコーナーでは

繋いでいた手をパッと離し、
弾けるような笑顔を見せて、ウサギを捕まえ抱き上げた。


「奈菜、服が汚れるぞ?」

「いいの。
洗えば済む事だから」


そう言って奈菜はウサギを自分の胸に抱いて体を撫でていき、
“はい、秀も”
と僕にも抱かそうとそのウサギを僕に向けた。


「僕はいいよ」

「なんで?秀はウサギが嫌い?」

「嫌いじゃないけどさ。
僕がウサギを抱いてヨシヨシするところを想像してみろ?」


そう言うと奈菜はウサギを僕に向けたままで想像し始めたようだった。