僕の愛した生徒



再び走らせた車は奈菜の家に近づき、僕は車を路肩に止める。

そして後部座席に腕を伸ばし、紙袋を手にして奈菜の前に差し出した。


首を傾げる奈菜。


「出張のお土産」


僕が言うと、
“そんなのよかったのに”
と奈菜は照れくさそうに笑い、それを受け取った。


「お菓子だから」


「ありがとう。
でも、勿体なくて食べられない」


「食べない方が勿体ないだろ?
それと、これも」


僕は小さな紙袋も差し出す。

それは、デパートで買ったもの。


奈菜はそれを受け取る事に躊躇っているようだったが、
“開けてみて?”
と半ば強引に手渡すと

そっと手を添えるようにそれを開けていった。