僕の愛した生徒



僕は校内にある自動販売機でコーヒーとミルクティーを買い、合宿所を目指した。



そこから漏れる光。



僕は開けっ放しになっている戸をノックして、

それに振り返った藤岡は、僕がここへ来た事に驚いた表情を見せた。



「今日も一人?」

「はい」



僕は藤岡のためらいがちな返事を聞いて、近くに置いてあったパイプ椅子に腰を下ろした。




「たまには藤岡もサボれば?」


細々と動いている藤岡に僕はイタズラっぽく言った。


それに藤岡は

「そんなのダメですよ」

と呆れるように答えて



「じゃあ、誰か他の奴に手伝わせれば?」

僕が続けると


「無理です。
だってみんな一生懸命に練習してるのに…大変じゃないですか。
みんなにはサッカーだけに集中させてあげたいし、
それに、これはマネージャーの仕事なんです」


藤岡は語尾を強め、少しムキになって答えた。

そして僕に背中を向け、流れる汗をそのままに汚れたナンバリングを手で洗っていった。



その真剣な後ろ姿を見ていたら



藤岡だって選手と同じくらいグラウンドで汗を流しているじゃないか?

ひとりで頑張らなくてもいいんだよ。




なんて言葉を僕は飲み込むしかなくなった。