それだけ言い残して僕の前から去っていく藤岡。
その場に一人残された僕は
暗闇の中に消えていく小さな背中をただ見つめた。
“嫌じゃなかった”
藤岡は一体どんなつもりで言ったんだ?
その言葉は考えれば考える程に僕を悩ませ、
そして言葉の意味を理解できないままに数日が過ぎていった。
藤岡とはあの日以来、話すことはなく、藤岡の態度も以前と何も変わらない。
それが、ますます僕の思考を混乱させていく。
あの日から僕はずっと言葉の意味を探した。
その中で僕が見た藤岡は
友達とふざけて笑い合ったり、
友達の言葉に顔をしかめて怒ったり、時には真剣な顔して何やら深刻そうに話をしていた。
そこに居るのは普通の高校一年生で
あの日
桜の中で見た少女…
感情が隠せないらしい藤岡。
ころころと変わるその表情は、
僕をワクワクさせ、
僕が忘れていた何かを
置いてきた何かを思い出させてくれる気がした。
そして
たまに見せる大人びた表情は
僕に思い出させる。
かつて僕が愛した女性…
玲香を



