僕の愛した生徒



「誰かの代わりはもうイヤ。
私はレイカさんじゃないよ?」

「知ってる」


「私、先生以外の人と……
先生を裏切ったんだよ?」

「そんなこと構わない」


まるで一問一答のように答える僕に、奈菜は

「でも…私……」

と、次の言葉を探すように俯いた。



「奈菜が好きなんだ。

例え、奈菜が何かをしてしまったとしても……
奈菜は奈菜だ。

何も変わらない」


僕の言葉に顔を上げた奈菜の瞳が大きく揺れる。


「だから…僕と……」


奈菜は僕の言葉を最後まで待たずに、今度はフルフルと首を大きく横に振って

「もうダメだよ」

と、少し顔を歪めて微笑んだ。


「どうして?」

「先生が“先生”で私が“生徒”だから……」


「そんなこと分かってる。

僕たちは先生と生徒だよ。

それでも、僕はそんなこと、関係ないと思えるくらいに奈菜のことが……」


好きなんだ……


でも、この言葉は奈菜の声によって遮られた。


「また、辛い思いをしなきゃならないんだよ?
苦しくなるんだよ?」


奈菜は大きな瞳を潤ませながら
震えた声で僕に訴える。


「それでも、構わない。

奈菜を失うことを思えば、そんな辛さや苦しみなんてたいしたことじゃない」


「…秀……」


「もう奈菜のどこが好きなのかなんて分からない。

理由を探してもどこにもないんだ。

見つからない。


ただ…ただ……

奈菜が好きなんだ」