「…シュウ……」
静寂の中で小さく響いた奈菜の声。
それに僕の鼓動は大きく打ちつけ
速いリズムを刻み始める。
僕は手にかけていたカーテンをそっと離し、
ゆっくりと振り返る。
「奈…菜……?」
しかし、奈菜は眠ったまま。
僕の声は奈菜の乱れた寝息に紛れて宙に消えた。
譫言(うわごと)…か……。
それに落胆した僕。
そうだよな。
今更、僕は何を期待しようとしていたんだろう。
「シュウ……」
奈菜は譫言でもう一度、僕の名前を呼んだ。
それと同時に、奈菜のこめかみを涙が伝う。
「…奈菜……」
どうして……?
なんで僕の名前を?
どうして、涙なんか……
奈菜には
ずっと好きな奴がいるんだろ?
僕はベッドの上で目を覚ます様子のない奈菜を
ただ…ただ見つめた。
辛そうに呼吸をしながら、
何度も僕の名前を呼ぶ奈菜。
そんな奈菜を前に、僕の中には
“なぜ?"
“どうして?"
とゆう、疑問ばかりが浮かんだ。
そして、再び奈菜は苦しそうに僕の名前を呼ぶ。
「……シュウ」
突然、僕の胸が騒ぎ出す。
奈菜…もしかして……
奈菜の片思いの相手って……
でも…まさか……



