「昨日のことだけど…」
藤岡の耳は一気に赤く染まり、
規則正しく動いていた手は止まった。
「大丈夫。
誰にも言いませんから」
「いや、そうじゃなくて」
藤岡はピンクに染まった顔で僕を振り返り首を傾げた。
僕は何て言えばいい?
“元カノと間違えた”
なんて、仮にも生徒である藤岡に言えない。
とはいえ、勘違いをさせるワケにもいかない。
藤岡は僕の言葉を待っている。
「昨日はごめん。
謝って許される事じゃないけど…」
藤岡はそれを聞いて僕に背を向け
残り少なくなっていた洗濯物を手にした。
やっぱり怒ってる…よな。
沈黙が僕を襲う。
不安を煽っていく。
「嫌じゃなかった」
…えっ?
呟いた藤岡の表情は見えない。
どういう意味だ?
考えている僕の側で
藤岡は最後のユニホームを干し終わると、この場を出て行こうとした。
そして
最後に振り返りイタズラな笑顔を僕に向けた。
「先生のキス…
嫌じゃなかったよ」



