僕の愛した生徒



奈菜の変化に気づいてから数日。


例え、奈菜にずっと他に好きな奴がいたとしても、

奈菜が感情を見せなくなったことに

“もしかしたら僕がそうさせてしまったのかも知れない”と、

奈菜に向けてしまった酷い仕打ちに、申し訳ない思いが込み上げ、後悔が芽生えた。


そして

“自分が悪いから”
“そうさせたのは私”

と、秋山に漏らした奈菜の言葉に

辛いのは自分だけでは無かったことに気がついた。




それから、ほどなくしてやってきた本年度の修了日。

滞りなく式は終わり、長めのHRでは恒例の通知票を渡していく。

その順番が回ってきた奈菜は、
目を伏せたまま僕の手からそれを受け取り、僕の一言に耳を傾けようともせず、直ぐに踵を返した。


僕の小さな『ごめん』は、
教室のざわめきにかき消されて、奈菜には届かないままに消えていった。


自分の席に戻って、つまらなそうに窓の外を眺めた奈菜。



もう、僕がこの場所から奈菜を見ることはない。


それに、寂しさを覚えるとともに

“終わったんだ”とホッと解放感に胸をなで下ろす僕がいた。