僕の愛した生徒



学校はあと数日で修了日を迎えようとしている。


そんなある日。

僕が廊下を歩いていると、そこから一人で中庭を眺めている秋山の姿が目に入った。


僕は秋山の視線の先を探す。


そこには、友達と談笑している奈菜の姿。


僕は秋山に近づき声をかけた。


「秋山、何を見ているんだ?」


突然の僕の声に驚くように
振り返る秋山は
“なんだ、小野先生か”と、気の
抜けたような返事をして、
もう一度、窓の外に向き直った。


僕は秋山の隣に並び、中庭を眺める。


「こんなところで自分の彼女を見ているのか?」

「彼女?」


秋山は怪訝な顔で僕を見る。


「藤岡と付き合っているんだろ?」

「違いますよ」

「だって、二人とも仲がいいじゃないか」

「ただの友達ですって」


そう苦笑いで誤魔化そうとしている秋山だが、僕は知っている。

たまに二人で登下校をしていることも、部活終わりの合宿所で仲良く二人で過ごしていることも。


「そうなのか?
僕はてっきり……」


僕は確信の目で秋山を見ながら、バツが悪いふりをする。


「そうですよ」


秋山はそう答えて


「って言うか、先生、俺の傷口に塩を塗るようなこと言わないで下さいよ」

と、ふざけるように続けた。