僕は屋上の鍵を開けると、冷たく重たい扉を開ける。
一歩外に出ると、刺さるような冷たい風が僕の頬を掠め、
僕はスーツの上に羽織っているフリースで風をよけ、身を縮こませた。
そして、フェンスに近づき校庭を見下ろす僕。
校庭で練習の準備をしている陸上部と、隣接するグラウンドで既に練習を始めている野球部。
僕はその様子を眺めていた。
すると、扉が開く鈍い音。
振り返る僕の目に、コートを纏う奈菜の姿が映った。
奈菜は“待たせてごめんね”と
両手に息を吹きかけ擦りながら僕の傍に来る。
「寒いのにこんな場所に呼んでごめん」
「本当だよ、寒すぎ」
奈菜は謝る僕に冗談めかして笑った。
その後は、お互いに何も話せなく
て、ただ、校庭を眺めていた。
「私の一度の浮気は
許せない……よね?」
不意に切り出した奈菜は相変わらず、校庭を見下ろしていた。
「…ごめん……」
僕の返事に、奈菜は穏やかな表情を浮かべて小さく頷き微笑んだ。
「それでいいんだよ…それで……
だから謝らないで?
秀は何も悪くないんだからね」



