僕もあの日以来
奈菜とは一切の連絡を絶ち、
廊下ですれ違っても挨拶すらしなかった。
時折、不安そうに僕を見ている奈菜に気づき、それに苛立ちや不満を覚えることもあったが、
時間と共に僕の心は落ち着き、
冷静さも取り戻していった。
そして
あれから三週間。
奈菜ときちんと向き合うことを決めた僕。
僕はサッカー部の練習が休みの日を見計らい、
その日の最後の授業終わりに、
机の上を片付けている奈菜の側に行き、声をかけた。
「藤岡。
今日は部活、休みだよな?
放課後に時間あるか?」
それに一瞬、驚き戸惑うような表情を見せた奈菜。
でも、次の瞬間には
その意味を全て悟っているかのように
「はい」
と、覚悟を伺わせるような落ち着いた返事をした。
「15分後に屋上を開けて待ってる」
奈菜は“分かりました”と返事をすると、
無言で、まだ机の上に出ている筆記用具を鞄の中にしまっていく。
僕はそれを最後まで見届けることなく、教室を後にした。



