再びモール内を歩く僕たち。
奈菜の片腕にはしっかりと犬のぬいぐるみが抱えられ、
微かに聞こえる奈菜の鼻歌を聞きながら、僕はそれを横目に見て並んで歩いた。
奈菜のプレゼントはどうしようかな?
奈菜は要らないと言うけど……
でも、何かを贈りたい。
「奈菜、ちょっとトイレに行ってくる」
僕はそう言うと、頷く奈菜をその場に残して、
初めに見たジュエリーショップに足を運ぶ。
そこで、僕はあのネックレスを購入して、簡単に包装してもらうとそれをポケットに忍ばせ奈菜の元へ戻る。
呼吸が少し乱れている僕に
「そんなに急がなくても
私はちゃんとここに居るのに」
奈菜はクスクス笑う。
「奈菜のことだから迷子になるかと思ってさ」
「そんなのならないもん」
僕に子ども扱いされて、ちょっと拗ねた表情を見せる奈菜は
抱いていたぬいぐるみを更にギュッと力強く抱きしめると“大丈夫だよね”とそれに語りかけていた。
僕はその姿に目を細めると同時に
僕が奈菜の傍に居てやらなければならない…それが今の僕の使命……
何となくそんな風に思った。
そして、僕たちは駐車場に向かって歩き出す。
モールをでる前に、奈菜は化粧室に行きたいと、大事そうに抱えていたぬいぐるみを僕に預けた。
僕は奈菜の背中が見えなくなったことを確認して、
ポケットに忍ばせていたプレゼントを取り出すと、その包装を剥がし、ネックレスを出して、
ぬいぐるみの首にそれを掛けた。
奈菜の反応が楽しみだな。
それを想像する僕の頬は自然と緩む。
少しして、何も知らない奈菜が僕の傍に戻って来る。
そして、“ありがとう”とぬいぐるみのシュウに手を伸ばした。
奈菜はシュウを見つめると一瞬キョトンとして、その後で僕とシュウを交互に見た。
「…秀、…こ…れ……」
僕を見つめる奈菜に、僕は微笑んで頷く。
それに瞳を潤ませる奈菜。
「こんな高価なもの…私が貰ってもいいの?」
「そんな高価なものじゃないよ」
「でも……」
躊躇う奈菜に
「それに、それ、シュウにプレゼントしたんだけど?」
僕がイタズラっぽく笑うと
「秀、ありがとう」
奈菜は眩い笑顔でそう言うとシュウを抱きしめた。



