僕の愛した生徒



「何をそんなに見ているんだ?」

僕が奈菜の背後から声をかけると
奈菜は優しい表情で僕を振り返った。


「キレイだなと思って……」


ほんわかと微笑みながらそう言い
奈菜はもう一度ショウウィンドウに向き直る。


僕もそれを見ようと奈菜の隣に並ぶ。



そこにはガラスに映る僕たちの姿があり、

そして、その奧には綺麗なジュエリーが並んでいる。


ネックレスや指輪には小さなスポットライトが当てられ、キラキラとその輝きを放ち、

ピアスやブローチも上品に並んでいる。



ふとガラスに映る奈菜に目をやると、奈菜は顔を綻ばせながら、一点を眺めていた。


僕はその目線を辿る。

奈菜の視線の先は、爽やかな色合いの小さな石を不均整に配したクローバーをモチーフにしたネックレス。


それは、奈菜に似合いそうな、可愛らしくて上品な雰囲気。


値札に目をやると、
そこに表示されていた金額は僕が考えていた予算内。



「そのネックレス、奈菜に似合いそうだな」


僕は奈菜が見ていたネックレスを指差す。


「そう?」

「僕からのプレゼントをこれにしたらどう?」



僕を見てから、もう一度そのネックレスを見直した奈菜は


「素敵なネックレスだけど……」

と、俯き困惑したように答えた。


その後、今度は顔を上げて僕に笑顔を向け


「でも、要らない。
だって、普段つけられないもん」


そう快活に続けると、

その話題を絶つように
“秀、あっちに行ってみよ?"と
次の行き先を指差し、僕の手を取って歩き出した。