指輪…か……
奈菜が望むならそうしてやりたい。
でも……
今の僕には安易にそれを贈ることは出来ない。
どうしても躊躇ってしまう。
僕たちは決して公に出来るような関係ではないし、
それに
いつか
奈菜にとってそれが重荷になる日が来るかもしれないから……。
僕は奈菜に“いいよ"とは言えず
沈黙が車内を包む。
「やっぱり無理だよね」
ポツリと呟いた奈菜は寂しそうに微笑んだ。
「無理じゃ無いけどさ……。
普段、はめられないだろ?」
僕が苦笑いを浮かべると、奈菜は
“そう言われればそうだね"と、
先ほどまでの表情を消して、あっけらかんと笑った。
けれど、悲しそうな瞳……
奈菜、ごめんな……
いつか…奈菜がもっと大人になって
指輪も似合うようになって
それでも、僕の傍に居たいと願うなら
その時は……躊躇うことなく
奈菜に指輪を贈るから。
2時間ほど走らせ続けた車は
目的地であるショッピングモールに到着する。
奈菜は車を降りると伸びをして、
僕もそれにつられて伸びをした。
それから
辺りを見回して目を輝かせた奈菜は、軽い足取りで僕の前を歩き始め、
時々、僕が付いてきているのか確認するように振り返りながら足を進めていった。
僕はそんな奈菜の背中を追いかけて歩く。
すると奈菜は突然お店のショーウィンドウの前で立ち止まり、そこを覗いていた。



