翌朝。
今日は仕事始め。
でも、長い休みで、すっかりリズムが狂っている体は
熱いシャワーを浴びても、
湯気が立ち上る苦いコーヒーを飲んでも、怠くて仕方ない。
けれど、奈菜に会えるかも知れないとゆう思いが、僕の体を少しだけ軽くしてくれる。
到着した学校は、今日もひっそりとしていて、職員室も先生は疎(まば)ら。
予想はしていたが、壁に掛けてある名前のプレートは、色が付いている方が並んでいて、
それを見るだけで、やる気は起こらなくなる。
そして、仕事納めの日にした掃除のお陰で、どの先生の机の上も整頓されて小綺麗になっているから職員室はスキッリして、
それが余計に、いつもは狭くて騒がしいと思う職員室を、広くて物静かに感じさせた。
新年の挨拶で始まった朝礼も早々に切り上げられ、
僕はグラウンドに出て、陸上部の生徒たちを指導しながら一緒に走る。
奈菜が今日から練習を始めると言っていたサッカー部も、トラックの中を走っていて、
その脇で奈菜はメガホンを片手に
体育座りをして他のマネージャーと談笑していた。
その姿に僕の口元は自然と綻び、
目に映るもの全ては煌めきだす。
その中で、僕たちは会話をするように視線を交わし、微笑み合った。
それだけで、朝は重たかった体も今では身軽になって、
気づけば先頭を走っていた。
僕は時計を気にしながら練習のメニューを指示していき、
サッカー部が練習を終える頃を見計らい、陸上部の練習を終わらせる。
そして、職員室に一度戻って視聴覚室の鍵をとると、そこへ向かいそこで奈菜にメールを打つ。
[いつもの所にいるから
部活が終わったら来て]
しかし、30分が経っても奈菜からの返信はないし、来る気配もない。
苛立ちを感じ始める僕はカーテンを開けて、グラウンドの様子を見るが、そこに人影は無かった。
僕は堪らず、ポケットから携帯電話を取り出して、リダイアルを押そうとすると、突然それは震え出す。
奈菜からの返信に、さっきまでの苛立ちは消えて、
僕は心を踊らせメールを開く。
しかし、それを読んで期待通りにならなかった僕は、
暖房のスイッチを切ると、肩を落としその部屋を後にした。
[メールに気付かなくて、返事が遅くなってごめん。
今日は友達と約束があるし、
もう、学校を出ちゃったよ。
だから、今日はごめんね。]



