「奈菜、今日のスカート
いつもより短くないか?」
いつもよりも10㎝くらいは短く見えるスカートの丈。
膝上20㎝とゆうところかな?
「ちょっとだけね。
へんかな?」
奈菜はスカートに手を当てて、
スカートと僕を落ち着きなく交互に見た。
確かに最近の生徒たちは
膝上20㎝のスカートなんて当たり前で
奈菜がそうしたい気持ちも分からなくはない。
でも、奈菜には短いスカートを履いて他の男に足を晒してほしくない。
「短過ぎじゃないか?」
僕が眉をひそめて言うと
奈菜は“そうかな?”と苦笑いを浮かべて
「秋山君はこれぐらいの方が可愛いって言ってたのにな……」
と、呟きながら
折っていたウエスト部分を、仕方なさそうに元に戻していった。
また、あいつの名前……
奈菜は秋山の言うことを何でも聞くのか?
いい加減にしろよ!
スカートの丈を戻した奈菜は
“これでいい?”
と、僕に見せる。
「いいよ。
でも、もう短くするなよ。
それに短いスカートは校則違反なんだからな」
冷静を装い、念をおす僕に
奈菜は“わかった”と肩を落とすように返事をした。
その後で、奈菜はコートに袖を通し、マフラーを巻くと、後ろ髪をかき上げ身なりを整えた。
そして、僕に振り向き
「これから飲み会なんだよね?」
尋ねる奈菜。
「今年最後の忘年会」
「何回目の忘年会?」
「3回目」
苦笑いを浮かべる僕にクスクス笑う奈菜。
「先生達って飲み会が多いよね?
私のお父さんの会社はそんなにないよ」
「そうか?」
「そうだよ。
先生達、何かにつけて飲んでる気がするもん。
月に一度は必ず飲み会あるでしょ?」
得意げに話す奈菜に、笑顔で誤魔化そうとする僕。
「でも、楽しんできてね」
奈菜はそう続けて言うと、僕に柔らかい笑顔を向け、
鞄を手に取り部屋を出ていこうとした。
僕は奈菜を戸の側まで見送り
声をかける。
「また、電話するから」
「待ってる。じゃあね」
奈菜は小さく微笑んで、
この部屋を静かに出て行った。



