期末テストも終わり、
生徒たちは冬休みを待つばかり。
でも、僕たち教員はそうもいかない。
テストの採点をして、成績をつけて、他にも仕事は山積み。
だから、菜奈とゆっくり過ごす時間も作れなくて、
深夜まで続く残業に、電話をする事もほとんどなく、メールだけが僕たちを繋いでいた。
それでも、奈菜は不満ひとつ漏らすことはなく、
逆に僕を気遣う内容のメールを度々、送ってくれて
僕はそれに安心を覚えていた。
そして
仕事のピークが終わり、
ようやく菜奈との時間も取れるようになって、
今までの僕たちのリズムが戻ってくる。
しかし……
僕たちは一緒に居ても、もう数ヶ月前のように屈託のない時間を過ごす事は無くなっていて、
僕はいつも、どこかに何かを抱えていた。
それでも今を手放したくなくて
いつでも奈菜を近くに感じていたくて
僕たちの関係を認めるように
切ない思いを消し去るように
僕たちは会うたびに体を重ねた。
僕はシャツのボタンを留め終え、大きな息を一つ吐く。
「ねぇ、秀。
今ので五度目だよ?」
奈菜はシャツの一番上のボタンを留めながら、スーツに腕を通そうとする僕に言う。
「なにが?」
「今日、秀が溜め息をついた回数」
奈菜は微苦笑しながら
“このごろ秀の溜め息と考え事、増えたよね”
と続けた。
「ごめん。ずっと忙しいのが続いてたからさ」
僕が申し訳なく言うと、奈菜は
「そうゆう事にしといてあげる」
と、いたずらな笑顔を向けたが
瞳の奥には隠しきれない不安を覗かせていた。



