「…はい……」
僕は一度、深く頭を下げてから
藤岡さんを見て、
膝の上に置いていた手でズボンを握った。
「私は生徒である奈菜さんに特別な感情を抱いてしまいました。
教員である以上、決してあってはならない事です。
しかし、私はあろうことか、
奈菜さんにそれを打ち明けてしまった……
奈菜さんもそれを受け入れてくれました。
それが許される事ではないと分かってますし、
教員として失格です……」
続きの言葉に詰まる僕を、藤岡さんは何も言わず、奈菜と同じ真っ直ぐな瞳で見ていた。
僕は大きくなる鼓動を鎮める様に
一度、目を閉じ
そして
目を開け、握っているズボンを更に強く握りしめ、
藤岡さんの目を見据えた。
「でも、私は奈菜さんを……
一人の女性として愛してしまいました」
僕の告白に驚きもせず、
優しい表情を浮かべている藤岡さん。
僕は握っていたズボンから手を解いた。
「先生のお気持ちはよく分かりました。
奈菜も先生に想われて、
きっと幸せでしょうね」
僕は非難される事を覚悟していたけれど、
意外な藤岡さんの言葉と、僕に向けられた柔らかな表情にホッと胸をなで下ろした。
が、次の瞬間
藤岡さんの顔から先ほどまでの表情は消えて、張り詰めていく。
僕の緊張が高まるところで話は続いた。
「でも、奈菜はまだ高校生です。
まだまだ、世の中を知らない。
奈菜にはこれから無限に広がる将来があります。
夢もあるでしょう。
けれど、一途な奈菜の事ですから
それを捨ててでも先生と一緒に居ることを望む筈です。
勿論、奈菜の気持ちは尊重したいですし、将来を決めるのも菜奈です。
ですが、一時の感情に流されてほしくはないんです」
逸らされる事はない藤岡さんの視線。
それは、つまり……



