僕の愛した生徒



翌日

学校で会う奈菜の態度はいつもと同じで、

放課後に過ごす時の奈菜も以前と何も変わらない。



あの日の奈菜はなんだったのだろう?



そう不思議に思いながらも、僕の抱いた不安は嘘のように消えていった。



それからも僕たちは変わらず、

学校では“先生と生徒"を演じ、

二人だけの時間は“男と女"になった。


しかし

ゆっくりと重ねていく時間の中で
僕は奈菜の様子がどことなく違ってきた事に気がついた。


二人だけの時間。

僕がふと奈菜を見ると、

奈菜はよく遠い目をして何かを見つめていた。

そんな時には、僕の呼びかけにも気づかない。


もともと奈菜は何かに集中してしまうと、そんなところがあったのだが、最近はそれが多くなった。


そして

僕を見つめる奈菜の瞳が、
たまに切なそうで

笑っていても以前のような笑い方とは違って、微笑むようにしか笑わない。

時にその笑顔は陰を落としている。


奈菜はもう無邪気に笑わなくなっていた。



再び僕の中に芽生える不安。


でも、僕はそれを言葉に出来ないまま

時間だけが流れていった。




そんなある日、

仕事をしていた僕の前に

何の前触れもなく


その人は現れた。