僕の愛した生徒




それから

僕は奈菜の涙が止むのを待って、家まで送りとどけた。



そして、戻った自分の部屋。

キッチンには奈菜と一緒に食べるはずだった朝食や、お菓子が並んでいる。

冷蔵庫を開けると、僕が飲まないジュースがある。


それを見て、侘(わ)びしさが広がった。



本当なら、今頃、奈菜と一緒に過ごしていたんだよな。



奈菜、一体なにがあった?

どうしたんだ?



急に不安が僕を襲った。


そして、僕は眠れそうにないまま冷たいベッドに潜り込む。


奈菜のあの涙の本当の理由に気づこうともせずに……



翌朝。

いつの間にか深い眠りについていた僕は、スッキリした体で起き上がり、

リビングで普段は食べない朝食をとる。


決して一人では食べきれない量の朝食。

僕はそれを頬張りながら、

奈菜とこの部屋で一緒に朝食を食べる光景を思い浮かべる。


僕は奈菜がいない隣に寂しさを感じながら

苦いコーヒーで、頬張っていたサンドイッチを喉の奥に流し込んだ。



そして

この日は、奈菜とゆっくり過ごす予定にしていたから部活も休み。


空っぽになった一日はやけに長く

悲しいくらいに自由で、虚しかった。