「じゃあ、玲香は僕に仕事を辞めてほしかったのか?」
僕が玲香を見つめると、玲香は
「違う……」
と首をフルフルと横に振り
「ただ……もっと一緒にいたい」
と、呟いた。
教員の仕事は端からみるよりずっと過酷だ。
休日は部活もあり、まる一日を休む事はほとんどない上、
平日だって、勤務時間があっても無いに等しく、深夜近くまで仕事をすることも珍しくはない。
それでも間に合わなくて、家に仕事を持ち帰ることもあるし、
例え、休んでいたとしても、生徒や保護者から連絡があれば対応しなければならない。
だから、自分の時間をゆっくり過ごす事も時には難しい。
でもこれが僕の選んだ仕事。
それに誇りを持っている。
玲香のことも、僕なりに大切にしてきたし、できるだけ二人の時間も作ってきたつもりだ。
それでもダメだったのか?
玲香の呟きに何も答える事が出来ない僕に、玲香は聞いた。
『ねぇ?
秀平は私と仕事、どちらが大切なの?』
僕はその言葉に愕然とした。
比べる対象が違うだろ?
玲香はこの7年間の中で、僕の事も仕事の事も理解してくれていると思っていた。
でも、それは僕の思い違いだったんだな。
結局、僕たちはずっとすれ違ってきていたのか?
「僕は玲香の思うような付き合い方は出来ない。
だから……」
玲香は僕の話を遮り、
「いいの。今までと同じで。
秀平が仕事を頑張っている事は知ってるし、
私、秀平が許してくれるなら、会えなくても我慢する。
もう絶対に浮気もしないから。
……だから、ずっと一緒にいて?
お願いだから傍に居させて」
そう切願するように話した。



