玲香は唇を離した後で、寂しそうな瞳をして僕を見つめる。
「今度ね、会社の後輩が結婚するんだって」
「そう。それはおめでたいね」
「……それだけ?」
「他に何がある?」
僕は今夜するつもりのプロポーズを悟られないように、素知らぬふりをする。
一生に一度の事だから、
どうせなら驚かせたい。
「何も無いけど……」
語尾を濁すような玲香に
「玲香も結婚したい?」
僕がイタズラっぽく訊くと、
玲香は
「そんな事はないけど、
…でも、ちょっと羨ましいかな」
と、遠い目をして微笑んだ。
そんな玲香を僕は抱き上げ寝室に向かう。
僕の腕に支えられている玲香は
“何するのよ"
と突然の事に目を丸くしつつ、
僕の首に腕を回した。
ベッドの上に玲香をそっと下ろし
僕もベッドに膝をかけると、それが少し沈む。
僕はそれに構うことなく、横になっている玲香の上から唇を重ねると、
玲香は僕の胸元にそっと両手を添えるようにして押し、
僕が唇を離すと玲香は
「秀平、私を幸せにしてね」
そう呟いて僕を見つめ、
“あぁ"と僕が静かに返事をすると、静かに目を閉じた。



