奈菜の声に僕の記憶が蘇る。
忘れたくても、ずっと忘れる事が出来なかった思い出。
それが走馬灯のように僕の頭の中を駆け巡った。
- 3年前 ー
二つ年下の玲香とは付き合い始めて、7年が経とうとしていた。
僕は30歳になり、仕事も落ち着き、同級生が次々と身を固めていく中で、
本格的に玲香との将来を意識していた。
そんな中、
いつものように僕の部屋へ来ていた玲香。
明日は玲香が28度目の誕生日を迎える。
僕は午前零時とともに渡そうと、玲香の誕生石がついた指輪を用意していた。
そんな事をまるで気づいていない玲香は緊張感もなく、
コーヒーを飲む僕の横で、湯気が立ち上るミルクティーを口に運ぶ。
湯気の向こうに揺れて見える玲香は、幸せそうに微笑んでいた。
その姿に僕は目を細める。
何もない午後に、こんな風に玲香とずっと一緒にいられたら幸せだろうな。
僕は玲香との未来予想図を描き、
それを現実にするつもりだった。
そう
アレを目にするまでは……



