少し気まずい空気が流れる部屋。
僕はそれを吹き飛ばすかのように
奈菜に明るく話かける。
「奈菜、夕飯はどうしようか?
ピザでもとる?
それとも時間も沢山あるし外で食べるか?」
これに奈菜は困った表情を浮かべた。
「秀、ごめん……私、やっぱり今日は家に帰ろうかな」
「体が辛いか?」
奈菜は僕を切なそうに見つめて
小さくコクンと頷いた。
やはり、今日の奈々は変だ。
一体どうしたんだろう?
家に来てから何かあったか?
「秀、本当にごめんね」
不安そうに俯いた奈菜の頭を優しく撫でて、
「気にしなくてもいいよ。
そんな日もあるさ」
と、僕は顔を上げた奈菜に笑いかけた。
しばらくして僕たちは家を出る。
僕が車を奈菜の家とは逆方向に走らせると
「秀?車…反対だよ?」
奈菜は不思議そうに僕を見た。
「まだ時間も早いし、少しドライブでもしないか?」
僕がそう言うと、
奈菜は“うん、そうだね”と
返事をして、前を向いた。
それを最後に、ずっと会話のない車内。
ふと助手席の奈菜に目をやると、相変わらず前だけを見つめているが、
その横顔は哀愁を帯びていて、
奈菜は心がこの場所にはないような遠い目をしていた。
……奈菜?
僕はそんな奈菜の右手に、僕の左手をそっと重ねた。



