僕の愛した生徒



僕たちはソファーに座り
コーヒーを飲みながら、いつものように他愛ない話をする。


でも、何かが違う。


奈菜はどことなくよそよそしく、
笑っているのにその笑顔はどこか作りもののよう。

隣にいる奈菜が遠くに感じ、
僕は不安に駆られた。



僕は奈菜を引き寄せて、両腕で包みこむ。


「奈菜、何かあった?」


「どうして?」


胸の中で奈菜は小さく訊いた。


「何となく……」


僕は奈菜の頭に頬をつける。


僕たちの間に続いたしばしの沈黙。




「…秀……」


その沈黙を破ったのは奈菜で、

僕が奈菜の頭から頬を離すと
奈菜は僕を見上げ、


「何もないよ。……なんにも」


そう小さく微笑んだ。



けれども、その瞳は……

とても悲しそうに見えた。