光輪学院シリーズ・九曜の苦悩

「…はい」

「いつまでも逃げていたとしても、向こうからやってくるんです。ならば対処法を覚え、そして身に付けていれば、何とか身の周りにいる人達ぐらいは守れるというものですよ」

「分かっています」

「ならば日々精進しなさい。神無月さんも口ではいろいろ言うでしょうが、彼女は立ち向かう覚悟はできていますからね」

「…ですね」

自分と同じように、オカルト現象が苦手な神無月。

しかし彼女は強い。真っ直ぐに立ち向かう強さを持っている。

それに比べてただ逃げ惑い、祖父の影に隠れているだけの自分がとても小さく思えて、九曜は自分を恥じた。

「まあお前はまだ若い。これからというものがあります。今はただ流されているだけだと思っても、確実に成長はしていますよ」

「そう見えますか?」

「ええ。何と言っても、お前は私の自慢の孫ですからね」

優しく微笑み、祖父は孫の頭を撫でた。

「お祖父さまに言っていただけると、嬉しいです」