とくに行きたいところもなかった私達は、本屋に入った。 すると椙村くんは足を止め、一冊の本を手にした。 『東野 圭吾…椙村くん、サスペンスが好きなの?』 「あぁ」 『ふぅん』 椙村くんとは違う内容の本を手にする。漢字ばかりで、すぐに本を閉じた。 ふと、椙村くんを見上げる。 知的な黒縁メガネにサラサラの黒髪、細くて長い骨ばった指に、ドキドキした。