その背中を見た瞬間、喉からせり上がるもの。
「……っ、ひっ」
両手で口を押さえても、どんどん零れ出る嗚咽を止められなくて。
フワッと香ったのはサヨさんの香水。
横から支える形で腕を取ってくれたサヨさんは微笑んでくれていて。
植え込みの花壇にゆっくりと腰を下ろさせてもらった。
「何があった?」
「なっ、何も。わっ、私が自分で……」
少し厳しい声の夏川さんに、慌てて弁解しようとするけど、なかなか言葉が出なくて。
「少しだけ2人にして?」
「じゃあ俺はソウんとこ行ってくるから」
たったそれだけの会話で通じ合う2人。
俯いていた視界から夏川さんの靴が消えた。

