「ちっ、違うっ!」 「え?あっ、おいっ」 「ごっ、ごめん。目にゴミ入ったからトイレ……」 慌てて立ち上がり、鞄からハンカチを取り出しながら足を動かす。 人の間をすり抜けるようにして。 ひたすら前に向かって足を進める。 トイレまであともう少し。 そう思った瞬間…… 緊張の糸が切れたかのようにボロボロと涙が溢れてきて。 しゃくりあげようとした瞬間、右肩に誰かの手が触れた。 そして勢いよく後ろへ引かれる。 コケるっ! 思わず両手を後頭部にまわしていた。