互いが互いの気持ちに気付いていない。 ――――そう、私以外…… 「ったく、夏川のヤツ」 「おっ、おかえり」 すぐ後ろで聞こえた声にドキッとする。 ちょっとお疲れ気味な低い声。 サヨさんと話している夏川さんを見る秋山さんの視線には少し恨めしそうだ。 「どうしたの?」 「アイツ、店員の化粧をホメてさ、割り引いてもらったら、さっさとレジを後にして」 「ふんふん」 「これ渡してくださいって割引券渡された」 ブスッとする秋山さんの手にはお店のロゴが入った券が2枚。 1枚をしげしげと眺めてみた。