練習前の、フリー・シュートを打っていると
明美が入って来た。
明美の足取りは重く、ゆっくりとしていて、
皆の所へ行くのを、嫌がってるかに見えた。
待ちかねた2年生が、明美の元へ行った。
「コーチ、どうだった?」
「うん。とにかく、走れって」
「えー、なんで。
どんな言い方、したんだよぉ」
「それから?」
「あとの事は、それから考えるって」
明美の声は、次第に小さくなっていった。
1年生は、少し離れた所で、
そのやり取りを、聞いていた。
佐紀には、なぜ走らないのか、解らなかった
確かに、走る練習は辛い。
でも、それがバスケットなんだから、
仕方ないと、佐紀は思っている。
しかし、友理を見ると、友理は密かに、
走らなくてよくなる事を、
願っているようだった。
「ねえ、走ろうよ。
コーチが来てくれなくなったら
困るじゃん」
瑞希がそう言うと、麻紀も渋々、
「仕方ないなぁ。
コーチが言うんだったら、
走るとするか」
麻紀が、折れた。
すると、千夏たちも、渋々ながら、
それに同意した。
「仕方ないなあ。
まあ、アケがキャプテンだから、
こんなもんか」
千夏の言葉に、明美の声は、
さらに小さくなった。

