明美が、帰ろうとすると、
「あっ、おい、ちょっと待て」
コーチは、棚からノートをとると、
その中の一枚を、ビリビリと破いた。
「これが、お前たちのために考えた
メニューだ。
全部、去年やってるから、
わかるだろう」
コーチは、明美にその紙を、渡した。
「いいな、やる気のないヤツを
教えるほど、つまらないものは
ないからな。
みんなにも、ちゃんと、言っておけ」
「はい、わかりました」
明美は、その紙を受け取ると、
コーチの店を出た。
明美の足取りは、重かった。
歩いていると、自然と涙が、滲んできた。
自分は、好きなバスケットができれば、
それでよかった。
何も、キャプテンになろうなんて、
思ってもいなかった。
なのに、なぜ弥生さんは、こんな自分を、
キャプテンにしたんだろう。
もっと上手い人も、いるのに。
私はキャプテンになんか、向いていないのに
帰り道、そんな思いがグルグルと、
頭の中を、巡っていた。
しかし、いくら考えても、答えの出る事は、
なかった。

