『雨か……、』 ぽつり、ぽつり…そして段々勢いを増していく 置き傘なんて忘れてきた 不運だなぁ、と内心思いながらまぁ、大雨はすぐ止むだろう、と考えた …嫌、実に失敗した 大雨は止むことなく、更に勢いを増していく。 暴雨、と呼ぶに等しい 「…泣いてるの?」 後ろから声がして振り返る …あれ、は、 『何、尾行…?』 彼は笑いながらまさか、と呟いた 爛…、だ 「で、…ねぇ、泣いてるの?」 嘘、と呟いて目を拭う …雨だ。涙など流してはいない 『泣いて、いない』 「…そう」