(恋華side)


「ちゃんと捕まってっか?」

「うん」


それだけ言って、
愛斗はバイクを進める。


きっと、この状況じゃなにも聞こえ
ないよね。


「ごめんなさい・・奪って。
愛斗の大切な喧嘩を・・」


絶対に聞こえてないよね?

だけど・・
愛斗って地獄耳?


「俺に、お前以上に大切なもん・・
ねぇかんな?」


静かにそれだけ言うの。

「うん」


そう言いたかったけど・・
しゃべる前に


涙が溢れてしまった。



だから、

愛斗を強く抱きしめて『うん』。

伝わってればいいな。



「愛斗っ!恋華ちゃんも無事か!!」



戻ると、

みんなが明るく迎えてくれた。


どうして・・?

こんな迷惑かけたあたしに優しく
してくれるの?

もっと・・泣けてしまう。