そのまま倒れるようにベッドに潜り込んで、重々しく息を吐く。
やっべぇ、体が鉛のように重いかも。
こんなことしている場合じゃないのになぁ。
早く遅れを取り戻さないといけないのに、あーシンドイ。
明日までに熱が下がっているといいけど。
また母さん達が心配しちまうだろ。
毛布を被って俺は今しばらくおやすみなさいモードに入る。
そのまま睡魔が訪れてくれるかと思ったんだけど、なっかなか寝付けない上に頭が痛い。
熱に魘されてどれくらい経ったか、ようやく意識が朦朧としていた時に電気が点く。
眩しさに顔を顰めていると、「起きれるか?」兄貴が顔を覗き込んできた。
夕飯を作ってきた、とか言われて俺は内心でちょっとばかしビビッた。
兄貴が俺のために何かするってそうはないことだ。大体パシリが主だからな。
……だけど、失踪事件で兄貴がどれほど心配していたか知っているから、好意は有り難く受け取っておくことにする。
重たい上体を起こすと、俺の椅子をベッドに持ってくる兄貴がそこに腰掛け、額に手を当ててきた。
「やっぱ熱いな」
明日は病院に行くか、兄貴の心配に俺は首を横に振る。
「夕飯食べて…、薬飲めば治ると思うからいいよ。病院…、大丈夫」
「そのツラを鏡で見てから言え。ったく、世話を焼かす。おら、食え」
丼から小皿に入れられたそれは、冷凍うどんみたいだ。
兄貴、気を利かせて具を沢山入れてくれている。
美味そうだな。
食欲はあんまねぇけど。



