「1996年から2011年に迷い込んだ? 坂本が?」
 
 

俺の素っ頓狂な声音が静かなカフェに響き渡る。


時間帯が夜だからか、余計に声が天井や床に跳ね返って響いた。

店内にいる客達が迷惑そうな面持ちで視線を飛ばしてきたおかげさまで、


「大きい声出さないでよね」


恥ずかしいでしょ、旧友の秋本 桃香から注意を促される。


毒づかれて俺は悪いと謝罪するものの、信じられない気持ちで一杯も一杯。


今にも破裂しそうな風船のように、驚きで気持ちが膨らんでいた。 


だけど落ち着きを取り戻すために珈琲を啜ったら、なんとなく納得する気持ちが生まれる。


非現実的なのになんでそう思えるか?

答えは今日の昼間の出来事のせい。