走るよりタクシーを捕まえた方が速いと踏んで、私達は道端でタクシーを捕まえると通っていた中学校まで走ってもらった。

「なるべく速く」

私の要求に運転手がすこぶる困っていたけど、こっちも一杯一杯だ。


一刻も早く坂本に会いたい。


「坂本が、30の坂本が戻って来たのね。遠藤」


「15の坂本は15の俺達が見つけ出す。
じゃあ、30の坂本は30の俺達が見つけ出す。

ははっ、両方ともまったく手が掛かる奴だな」



泣き笑いする遠藤に、「ほんとね」私は相槌を打ってみせた。


早くなる鼓動を抑えていると遠藤の携帯が鳴った。メールらしい。


中身を読んだ遠藤は、「嘘だろ!」悲鳴交じりの声を上げる。


曰く、坂本が体育館から消えてしまったらしい。


自分が電話している間に、外に出てしまったようだと山崎君が詫びのメールを送ってきた。


「ああくそっ」


一刻も早く会いたいのに、遠藤が頭部を掻き毟る。


一方で冷静になる私はあそこに行きましょ、と彼に提案。



「坂本が失踪事件を起こす原因になった神社。あそこに行けば、あいつがいるかもしれないわ」