それから幾日後、坂本はその日を迎える。

死期を悟った猫のように憂いを帯びていた親友は、それを吹っ飛ばすかのように朝からハイテンション。


秋本と共に俺の家に邪魔して、片付けて、駄弁って、んでもって夕風と共にサヨウナラ。
 

あいつは消えちまった。


神社前で吹き抜ける風と共に、舞い上がる木の葉を合図に、俺達の前から消えちまったんだ。

突風に目を瞑っていた俺達は、すぐにあいつが上ったであろう石段を進んで神社に入ったんだけど坂本の姿はなく、少しばかり捜してみたけどやっぱ姿は見つからなくって。


秋本が懸念していたことに、未来が変わる気配もなかった。




俺達の生きる未来は“坂本のいない”未来で固定されちまったようだ。