「(…はぁ、暑いなぁ…)」 校舎を出ると熱気がもわんと身体を包み込んだ。 至るところからじんわりと汗が噴き出してくる。 夏の夕方はまだ日が高く、ぼうっと立っていれば熱中症になりそうだ。 全部その暑さの所為にして、襟元をパタパタ動かし風を送った。 隣では、睦くんが柔らかな笑みを絶やさず歩いている。 2人分の影が、灼熱のアスファルトに長く伸びた。