それは五時間目の授業の事だった。



お昼過ぎというのもあってか、
ほとんどの生徒が机に顔をくっつけて寝ている。



まあ、仕方無いか。
ゴリの授業だし。



私は編入したばかりなのでそんな余裕も無く、
必死にノートをとっていた。




――――ガタッ



隣のヤツが席を立った。



妖精だ……。
そうだ、私の隣は妖精だった。




「ゴリーチャー!
気分が悪いので保健室に行ってきてもいいかい?」



「はあ?
嘘をつけ!お前すげえ元気だろ!!」



ゴリはまた顔を真っ赤にしている。
確かに妖精が具合悪そうにしている素振りは無い。



妖精は胸ポケットの薔薇を抜き取り、
ゴリの顔に近付けた。




「そんなに怒らないで…
薔薇を一本あげるから」

「いらんわ!!」



即答。





妖精は薔薇を胸ポケットに直した。



ゴリが怒ってるにも関わらず、
妖精はそのまま保健室へと向かって行った。

保健室に行くって事は、
のり姉の所だよねえ。



私はシャーペンを顎にくっつけた。



のり姉…
大丈夫か……?


そんな心配をしていると、



『彼、面白いやろ?』


のり姉がそう言っていたのを思い出した。



…ま、大丈夫か。
そう思い私は必死に黒板の文字をノートに写していた。