ペテン師の恋

朱一と最後の絵を運び終わり、一息ついた。





美術館の中にある長椅子にぐったり座っている私に、朱一は缶ジュースを差し出してくれた。






「お疲れ様」





朱一の優しい笑顔、今日はたくさんみせてくれた。昨日はあんな酷い人だったのにね。





昨日の出来事を忘れるくらい、今日の朱一だけを私は、見ていた。





「ありがとう」





受け取った缶ジュースは、温かいココアだった。





最低な夜で伝えた私の一言を覚えていてくれた。





そんな、さりげない行動が嬉しくて、疲れも一気に吹き飛んだ。





これを胸が弾むとかって、人は言うのかな…





「さてと、何が食べたい?手伝ってくれたお姫様の好きなところへ連れていってあげるよ」





お姫様…





その単語が嫌いになっていた。





せっかく、気分が良かったのに、また人形扱いされた気がして、私はあからさまに怒りを表に出した。