ペテン師の恋

絵本は二人の再会の前に終わっていた。









まるで、私と朱一のようだ。








白黒でしか絵を描かない朱一が、初めて色を使って描いてくれた。









素敵な絵本。









最後のページをめくると、朱一の直筆のメッセージが書いてあった。











−姫とペテン師はもうすぐ逢える−










私は、胸が高鳴った。









これは、私と朱一が逢えるということ?










朱一はもう出てきたの?










この本はどうやって送られてきたのだろう、誰が発送した?









「もしかして…」









私は、逸る気持ちが押さえきれず、ケータイをとりだし、メモリーから朱一の名前を出した。










かかるのかな…