ペテン師の恋

ペテン師は降参して、自分が王子ではないことを、姫に明かしました。










「姫がお許し下さるなら、外のお話をいくらでもしましょう」









ペテン師は、得意気に外の世界の話を姫に聞かせました。









わがまま姫で有名な姫も、ペテン師のしらない世界の話に興味津々で、瞳を輝かせながら話を聞いていました。










ペテン師も、話をしているときは、ペテン師だということを忘れ、一人の青年として、本当の自分として、話をしていました。









いつしか、二人は恋に落ちました。









しかし、ペテン師は罪悪感を感じていました。









自分はみんなを騙している罪人。城の家来が城に自分がいることを許しているのは、魔法がとけていないからという事実。










こんな自分が、姫を愛する資格があるのだろうか。









住む世界の違う彼女に恋をしても、きっと、魔法が溶ければ叶うことはありません。