ペテン師の恋

私が、あの人との結婚を了解しなければ、朱一は罪を犯すこともなかった?








今さら、どんだけ自分を責めても、何も変わらない。








分かっているのに、そんなことばかり考えてしまう。








朱一の罪を償う意思は、人として、当たり前のことだ。








なのに、なんで、こんなに納得できないのだろう。








だけど、こんなんじゃダメだよね。









「わかったわよ。もう、あなたとは今日で最後ね…」








また、強がってしまう。









「朱美…」








朱一は寂しそうに私を見つめる。








「もう、困らせないから。あなたが進む道へいくといいわ…私が、眠っている間に…」








私は、寝返りをうち、朱一に背をむけた。








もう、涙も見せたくない。









去り行く背中も、みたくないんだ。