ペテン師の恋

「優しいな…」








朱一の弱々しい声、そんな朱一がどこか行ってしまいそうに感じて、怖かった。








「どこにもいってほしくないの…。今の朱一は、きっと、私と離れようとしてるから」








相手の心を読み、そうさせないように甘える。それはクラブで学んだ術。







だけど、きっと、朱一には通用しないだろう。








「ずるい人だな…でも、人として、罪を償う。それが唯一、自分の中の人の心だと思う」








朱一は私の瞳をしっかりみた。








「自首するつもりだ」










さっきまで、夢の中にいた気分だったのに、一気に現実へと引き戻される。








涙がまた溢れでる。








「当たり前だろ?君の大切な人の命を奪ったんだから…」








わかってるよ、朱一の言ってる言葉は正しい。








でも…