ペテン師の恋

食事も終え、朱一はまっすぐ私の家に送ってくれた。







まだ、話していたいのに、朱一はどうしてこんなに紳士的なんだろう。







好き同士なら求めあってもいいのに…







「じゃあ、おやすみ」







朱一は、私に口づけて、そういってくれた。でも、私はどうしてもまだ一緒にいたかった。








待ってるだけじゃ、前に進まないよね。








「ねえ、今日のお礼したい。っていっても、ココアとコーヒーしかないけど…上がっていかない?」








どんな口実でも良かったが、言葉のプロがこんな情けない誘い方するなんて、自分が恥ずかしい。







朱一は、私の心を読んでくれたのだろう、車のエンジンを止めてくれた。








「じゃあ、俺もココアもらおうかな」








私がココアを好きなこと、覚えてくれている。そんなさりげない優しさが、とても嬉しい。