ペテン師の恋

私たちは、ホテルのディナーで、朱一の退院祝いをした。







もちろん、他の客に見られないように個室の部屋なので、綺麗な夜景は見れなかった。








でも、個室のほうが落ち着く。ようやく、普段の調子が戻ってきた。







「ああ、退院したらしたらで、締切まじかのものも、極秘入院だから間に合わせろだって。鬼だよ」







初めて聞く、朱一のお仕事の話し。当たり前のように話す言葉も、今までみたことのない世界なため、凄く興味深かった。







「本当にあなたが書いてるのよね。なんか、信じられない」







朱一の小説は世界観が凄く好きだった。







見終わると、切ない余韻が必ず残る。読みはじめると、止まらなくなる。









「失礼だな、ちゃんと書いてるさ。これと絵だけは唯一、自分の世界をさらけ出せる場所だから」








朱一は楽しそうに話した。本当に、今の仕事が好きなのだろう、イキイキしていた。