ペテン師の恋

「す、好きな人とか…そこだけ、口うまくなったのね」







美里は慌てて、照れ隠しのように、いつもの嫌味を言った。







そんな美里を見て、聖は小さく笑い、ふと、真剣な眼差しで、美里に向きなおした。






美里は、緊張して、目が合った聖の瞳から視線をそらせなかった。







「真剣に、俺、嫉妬深いから、嫌なんだ。好きな人が違う奴と水族館きたとか聞くの」






聖は美里の頬に触れた。そして、ゆっくり唇を重ねた。






美里も、緊張して力が入っていたものが、一気に力が抜けた。







初めて、心を奪われた。





想いを寄せる人とする口づけは、今まで口づける理由が解らなかった美里に、初めて理由を教えた。







ゆっくり、唇を離すと、聖は力が抜けたように、しゃがんだ。